ドリブルフォースとは
ドリブルフォース【カードマジックテクニック】
難易度 | |
汎用性 | |
インパクト |
テクニックの特徴
- 任意のカードを選ばせる「フォース」の一種
- フォースの中でも比較的簡単で使える場面も多い
- 第三者から見てもフェアに見える
ドリブルフォースとは観客に自由に選んでもらったと見せかけて実際にはマジシャンの選ばせたいカードを選ばせるテクニック「フォース」の一種です。
カードを選ぶ人以外のお客様から見てもフェアに見えるフォースなので、観客が複数人いる場合などにおすすめのフォースです。
フォースには様々な方法がありますが比較的簡単な方法なので、優先して習得しておくべきテクニックと言えるでしょう。
とはいえ観客が反抗的な場合などは百発百中とはいかないので臨機応変に対応する必要があります。
本記事ではドリブルフォースの基本的なやり方から上手く行かなかった場合のリカバリ方法についても解説しています。
あわせて読みたい
実演・解説
- 実演
マジシャン やまさきそら
京都が世界に誇るエンターテイメント「ギア」に最年少デビューし、レギュラー出演中。
現在は、各種イベントや飲食店でマジックを披露する他、幅広い層を対象にしたワークショップ指導、物語を伴ったオリジナリティ溢れるマジックの創作など、多方面で精力的に活動中。
ドリブルフォースのやり方
ドリブルフォースのやり方
まず前提としてドリブルフォースには「ドリブルオフ」というテクニックができる必要があります。
ドリブルオフとは右手にビドルポジションで持ったデックをパラパラと弾いて左手に落としていくテクニックです。
ドリブルオフのやり方については以下記事で詳しく解説しているので、まだ習得していない方は先に練習してみてください。
あわせて読みたい
まずフォースカード(選ばせたいカード)をデックのトップにセットしておきます。
「カードを弾いていくので好きな所でストップと言ってください」などと言いながら真ん中あたりでデックを2つに分けて何気なく1回カットします。
このカットは通常のカットを行っても良いですが、ダブルカットによって行うとよりカードを混ぜているような印象を与える事ができます。
あわせて読みたい
カットしたところに左手の小指でブレイクを作っておきます。
今デックの真ん中あたりにあるフォースカードの上にブレイクがある状態です。
ブレイクを右手の親指に移して保持したまま、デック全体を右手のビドルグリップに移します。
この状態でドリブルオフを行い、右手のカードを左手にパラパラと弾いて落としていきます。
観客からストップがかかった瞬間、右手の親指の力を緩めてブレイクより下のカードを全て落とします。
するとフォースカードが左手のカードの一番上にある状態になるので、表向きにしてこのカードが自由に選ばれたことを観客に示します。
ドリブルフォースのコツ
観客を観察してストップのタイミングを推し量る
ドリブルフォースでは観客からストップがかかるタイミングとフォースカードのある位置まで落とすタイミングをできる限り近づけることが重要になります。
そのためには観客をよく観察してそれに合わせてカードを落とすペースを変える必要があります。
早くストップを言いそうな雰囲気であればカードを早く落としていき、なかなか言わなさそうであればゆっくりとカードを落としていきます。
こればかりは回数を重ねて掴んでいくしかないので、積極的にドリブルフォースを実践して練習していきましょう。
後に書いているリカバリーの方法を習得しておけば仮にフォースが上手く行かなかった場合でもマジック自体が失敗することはありません。
反抗的な観客への対応方法
観客によっては思い通りの所からあえてストップを言わなかったり、マジシャンを出し抜こうとして別のところからカードを選びたいと言う人もいます。
観客のパターン別の対処法を以下に挙げるので参考にしてください。
カードを落とし始めた直後にストップと言われた場合
有無を言わさずブレイクより下のカードを全て落としてしまってください。
多少まとまってカードが落ちてしまっても問題ありません。
またすぐにストップと言われても全て落とせるよう、ドリブルオフを始める前からの心の準備も重要です。
なかなかストップと言わない場合
観客がなかなかストップと言わずフォースカードを過ぎてしまいそうな時は、一旦フォースカードを落とした上で左手の小指を挟んでブレイクを作り、右手に残ったカードを一気に全て左手に落としてしまいます。
そして「早くストップと言ってくださいよ!」などと言って場を和ませた上でもう一度ドリブルフォースを行うと良いでしょう。
2回目に行う時はさすがに早くストップと言ってくれる方が多いので、普通にドリブルフォースを行って大丈夫です。
全く関係ない所からカードをとろうとする場合
2回目でもなかなかストップと言ってくれない場合や、フォースカード以外のカードを指してどうしてもこのカードが良い、などと言うお客様もいます。
このようにお客様がかなり反抗的な場合はドリブルフォースそのものが難しいので、フォースによって選ばせることを諦めて別の方法で対処します。
手軽なのはフォースカードがデックのトップに来るように一回カットした上で、観客の選んだカードを右手に持っておきます。
この状態でミスディレクションとともにトップチェンジを行うことによって観客のカードをフォースカードにすり替える事が可能です。
または観客のカードをトップに重ねてダブルリフトを行うことによってすり替えることも可能です。
どのような方法を用いても問題ありませんが、このようなお客様もいることを想定しておく事が重要です。
ただし大前提として観客に挑戦的な姿勢にさせないような雰囲気作りが重要です。
単体のマジックとしては使わない
フォース全般に言えることですがフォースされたカードを当てることや予言していたことを示すなど、フォース単体でマジックとして使うことは控えた方が良いでしょう。
というのも他に疑いの余地がないと、観客の予想は確実に「カードを強制的に選ばされたのではないか?」という方向に向かうためです。
そうなると不思議さが半減するばかりか、次に行うマジックで観客が挑戦的になることは避けられません。
実演動画ではわかりやすさを重視して単なる予言マジックとして行っていますが、実際には他の現象を演出するための手段としてフォースを用いるようにしましょう。
ドリブルフォースの応用
KMムーブを用いたフォース
通常のドリブルフォースではタイミングを測る必要がありますが、KMムーブを利用する方法では確実にフォースカードを選ばせることができます。
まずフォースカードをトップに置いた状態でデックを右手にビドルグリップで持ち、ドリブルオフを始めます。
観客にストップと言われたところで手を止めます。
この場合はどこでストップと言われても問題ありません。
手を止めたら右手に残ったカードの束を立てて左手のカードの上にトントンと2回ほど打ち付けます。
続いて「このカードで良いですか?」と観客に問いかけながら左手のカードを観客の方に差し出して示します。
再度左右の手を近づけてもう一度右手のカードを立てて左手のカードに打ち付けますが、この瞬間に左手の中指、薬指、小指を伸ばして右手のトップカードの上に当てます。
<後ろから見た状態>
左手の3本の指でフォースカードをしっかりと押さえたまま右手を上に上げると、左手のパケットの上にフォースカードを取ってくる事ができます。
<後ろから見た状態>
あとは左手のパケットのトップカードを観客に差し出すことでフォースが完了します。
この方法では観客の反応を見る必要がなく、確実にフォースを成功させる事ができます。
ただし場合によっては怪しい動きに見えることもあるため、一概にどちらの方法が良いとは言えません。
観客によってより効果的な方法を使い分けるようにすると良いでしょう。
関連技法
その他のフォース系技法
クラシックフォース
フォールス・ディールをフォースとして応用するのも効果的です。
まとめ
今回はドリブルフォースのやり方について解説しました。
フォースの中では手軽でなおかつフェアに見える、非常に使える場面の多いフォースです。
確実に使えるフォースが一つあるだけでマジックの幅は飛躍的に広がります。
それほど難易度も高くないので、まだフォースを習得していなければ是非練習してみてください。