概要
難易度 | ★★★★★ |
汎用性 | ★★★★☆ |
インパクト | ★★★★★ |
現象
マジシャンは1枚のAを手に隠します。
しかし観客が手の中を見せてもAは見えません。
見えないAを持ったまま手をテーブルの上にかざすとAが出現しています。
このように1枚、1枚と見えない移動を繰り返し、最終的に全てテーブルの上に集まってしまいます。
実演
見えないカードというとても面白いコンセプトなので、子供から大人まで幅広い人に受けます。
特に女性や子供に受ける傾向にあります。
難易度は高めで、人前で演じるには相当な練習が必要です。
また、ある意味度胸が必要なマジックでもあります。
覚えてしまえばどこででも、セット無しで演じる事ができる為とても強い味方になります。
オープントラベラー解説
表向きのデックを左手にディーリングポジションで持ち、トップに4枚のエースを表向きで乗せます。
表向きのエースを扇状に広げた状態で右手に持ち、「4枚のエースを使ってマジックをします」などと観客に話しながら示します。
観客がエースに注目している隙に左手小指でデックのトップカードの下にブレイクを作ります。
デックの上に4枚のエースを乗せて揃え、右手にビドルポジションで取り上げますがこのときブレイク上の1枚のカードも一緒に取ってしまいます。
右手で5枚のパケットをとると同時にトップの表向きのカードが見えないように左手を返してデックをテーブルの端に置きます。
観客は4枚のエースを取り上げただけだと思っていますが、実際には関係のないカード1枚を加えた5枚のカードを持っています。
パケットを左手のディーリングポジションに移します。
トップカードを左手親指で押し出して右手に取り、そのままテーブルの上に滑らせてカードの左端をつけます。
カードの右端を上に上げながら手を離し、テーブルの上にカードを裏返して置きます。
同様にして2枚目、3枚目のエースもテーブルの上のカードに重ねて裏返しで置いていきます。
最後の2枚は重ねたまま右手に取り、これまでのカードと同様に裏向きにしながらテーブルの上のカードに重ねて置きます。
このとき2枚のカードがずれてしまわないように注意が必要です。
テーブルの上のパケットを取り上げて左手のディーリングポジションに移します。
左手親指でトップから3枚を裏向きのまま押し出し、扇状に右手で取って観客に示して一旦テーブルの上に置きます。
左手に残った2枚のカードを重なったまま右手にビドルポジションでとり、手を返して表を観客に見せます。
観客は1枚のカードだと思っているので、カードをずらさないようにしながら2枚のカードを裏向きでテーブルの右の方に置きます。
2枚のカードをテーブルの上に置く際は、中指でカードの真ん中を少し押して若干反らせ、カードの真ん中部分のみテーブルにつけた状態で中指と親指→人差し指の順でカードを離すとずれずに置くことができます。
この手法を「ダブルカード・プットダウン」と言います。
テーブルの上に扇状で広げられている3枚のカードを取り上げ、左手にディーリングポジションで持ちます。
ここで「テントバニッシュ」という手法を用いて1枚ずつカードを消したように見せていきます。
左手のパケットのトップカードを人差し指と中指を上にして右手に取り、カードを時計回りに半回転させるようにしながら左手の親指を支えにして斜めに立てて保持します。
右手の指を閉じた状態で手の平を相手に見せ、左手で立てているカードを右手で覆います。
右手はいかにも立ててあるカードをパームするかのごとく指を少し曲げ、同時に左手親指の力を少し抜いて立ててあるカードを倒して他のカードと揃えてしまいます。
右手は指を曲げたままテーブルの上に持っていき、手の平を返して手の中に何も見えないことを観客に見せます。
右手を返して手の平を下に向け、テーブルの上に裏向きで伏せてあるカードの上に持ってきます。
テーブルの上の2枚のカードのうちトップカードを少しずらして右手をどけ、見えないカードの移動が起きたことを観客に示します。
すぐに右手を左手のパケットの上にビドルポジションでかけます。
左手中指をボトムカードのフェイスに当ててボトムカード1枚のみを半分程度左側にずらし、右手を返して2枚のカードの表面を観客に見せます。
右手を元に戻し、左手親指をパケットのトップカードに当てて左にずらしてボトムカードと揃えます。
右手の陰になっているため観客からは見えませんが、真ん中のカードだけが突き出て右側に出ている状態になっています。
そのまま左手で左側に突き出ている2枚のカードをつかんで引き抜き机の上に置きますが、同時に残った真ん中のカードを左手の平にパームします。
右側に突き出ているカードの右上コーナーを左手小指を曲げて保持しながら引き抜くことにより、自然にパームの形へ持っていくことが可能です。
そのまま右手をテーブルの右側に置いてあるカードの上に持っていき、カードを右手に取りながらパームしたカードをトップに加えてしまいます。
取ったパケットを表向きにして左手のディーリングポジションに移します。
トップカードを親指で押し出して右手にとり、2枚のカードを相手に見せます。
実際には左側のエースの裏にはもう一枚カードが隠れているのでずれないように注意が必要です。
カードを揃えて裏向きにし、テーブルの右の方に置きます。
テーブルの左側に置いてあるパケットを取って左手のディーリングポジションに持ち、トップカードを再び半回転させながら左親指で立てて保持します。
1回目同様に立てたカードを覆うように右手をかけ、右手を少し曲げると同時に左親指を緩めてトップカードを倒します。
右手を移動させて手の平を観客に見せてから戻し、テーブルの右側に置いてあるカードの上で3枚のカードをずらしてカードが移動したことを示します。
すぐに左手の2枚のカードを重なったまま右手にビドルポジションで持ち、手を返して表面を観客に見せます。
右手を元に戻し、左手親指でトップカードを左に引いてテーブルの上に置きますが、同時にボトムカードを右手にパームします。
1回目同様に小指を少し曲げて右上コーナーを押さえつつパームの形に持っていきます。
テーブル右側に裏向きで置いてあるパケットをパームしたカードを加えながら右手で引き寄せ、表向きにして左手のディーリングポジションに移します。
トップから2枚のカードを左手親指で押し出しながら広げて右手に取り、3枚のカードを観客に示します。
実際は4枚カードがありますが下から2枚のカードは重ねたままにし、ボトムカードは観客に見えないようにします。
4枚のカードをまとめて裏向きにしてテーブルの上に置きます。
テーブルの隅に置いて置いたデックを取りあげ、左手にディーリングポジションで保持します。
テーブルの左側に置かれた1枚のカードを取り、デックのトップに右に少しずらした状態で乗せて左親指で押さえておきます。
相手はこのカードが4枚目のエースだと思っていますが、実際は関係のない5枚目のカードです。
デックの右側をテーブルにつけ、右側に突き出したカードが半分ほどテーブルに接するような状態にします。
右手は指先を伸ばしてテーブルに対して垂直に立ててカードの右側に位置しています。
右側にずれたカードに右手を覆いかぶせ、テーブルの上におさえつけるようにします。
右手でカードが隠れた瞬間に左手の親指を引き、右側にずれたカードが他のカードと揃うようにしながらデックを少し左に動かします。
<右手を外したときの動き>
右手をテーブルの上にこすりつけてだんだん指を開いていき、カードが消えてしまったことを示します。
観客は必ずデックのトップカードを怪しむので、トップカードを表にしてエースではないことを示します。
テーブルの右側に置いてあるパケットを取り上げて表向きにし、全てのエースが揃っていることを示してマジックは終了です。
オープントラベラーのポイント
テントバニッシュでは親指を動かさない
テントバニッシュで本当にパームし、本当に消えたように見せるには少しコツが必要です。
左手は親指を緩めることによって立てたカードを倒しますが、親指を寝かせるなどして動かしてはいけません。
カードを倒す前と後での左手の形をほとんど同じにすることによってカードが消えた印象はより強まります。
また手をパームの形にする際には本当にカードをパームしているときの自分の手の形をよく観察し、その形に近づけるようにしましょう。
パームをする際にはミスディレクションを活用する
オープントラベラーには本当にパームをする場面があります。
パームは度胸のいる技法ではありますが、ミスディレクションを利用することでパームに苦手意識のある方でも演じやすくすることができます。
このマジックにおいてパームをする際、同時に別のカードをテーブルの上に置きますが自分の意識と目線はテーブルの上のカードに注目してください。
決してパームしている手の方を見てはいけません。
できれば同時に「テーブルの上に置いておきます」などと声をかけ、観客がテーブルを見る工夫をします。
実質パームしている時間は1秒にも満たないので、一瞬でも気をそらすことができればまず見抜かれることはありません。
最後のカードの消し方は何でも良い
本記事では最後のカードをテーブルにこすりつけて消す方法を紹介しましたが、消し方は何でも問題ありません。
エースとは全然関係ないカードなので、単純にデックの中に入れて指を鳴らしてやるだけでもマジックが成立します。
是非オリジナリティのある方法を考えてみてください。
まとめ
本記事ではオープントラベラーのやり方について解説しました。
パームを使用するマジックを敬遠する方も多いですが、オープントラベラーにおけるパームは一瞬でバレにくいので、パームが苦手な方も是非挑戦してみてください。
「見えないカード」というネタは非常に面白いので女性や子供ウケも良く、使える場面の多いマジックなので、覚えておくと非常に便利です。