ティルトとは?
ティルトは、「キーカードをデックの真ん中部分に入れたように見せかけて、トップカードから2番目に入れてしまう」というテクニックになります。
ティルトとは「傾ける」という意味の英語です。
マジックのテクニックにおいてのティルトでも、デックを上手く傾けるようにして実現します。
マスターすれば非常に強烈な現象を手軽に起こすことができます。
しかし同時に角度に弱い、ある程度の演技力が必要、と条件を選ぶ技法にもなります。
相手から見て「強い角度」を把握し、しっかり練習していきましょう!
ティルトのやり方
左手にデックをディーリングポジションに持ちます。
トップカードを右手に取り、相手に示しますが、相手の目が右手に持ったカードに注目している隙に左手のトップカードの下に小指でブレイクを作ってしまいます。
これは左手のデックのトップカードを親指で少しずらし、それを戻す時に小指を入れることにより自然に作ることができます。
ここまで普通のブレイクを作りましたが、ここからティルトの形に移っていきます。
ブレイクの隙間を左手に持ったデックの下エンド全体に広げ、トップカードの下側全体を5mm程度浮かせた状態にします。
これは左手の小指はカードに隙間を作った状態で保持しつつも、左手の親指の付け根でトップカードの左側を支える事によって浮かせます。
親指の付け根と左手の小指でトップカードの手前を持ってしまうようなイメージですね。
横から見るとこのようになります。
相手側のエンドはトップカードもくっつけた状態にしているので、正面の観客からカードが浮いていることがわかりません。
次は右手に持ったカードを2枚目に差し込んでいきます。
右手のカードを左手のデックから2枚目のカードの上ににピッタリくっつけるようにして手前から差し込んでいきます。
浮かせた空間の中に差し込むのではなく、必ず最初から浮かせた下のカードにぴったりくっつけるように差し込むようにします。
また注意点として、カードを差し込むときはデックに対して斜めから差し込むようにします。
これは実際にティルトなしの状態でデックにカードを差し込んでみればわかるはずです。
デックの1/3程度まで差し込んだら、一度右手をカードから離します。
右手をデック全体にかけ、親指で差し込んだカードの残りを押し込んでいきます。
あとはデックを揃えながらティルトを解消すればOKです。
キーカードはトップから2番目に入っています。
ティルトのコツ
普段の動作に限りなく近づける
カードを自然に差し込む際には、スピード、動作共に普通にデックにカードを差し込む時に限りなく近づけなくてはなりません。
必ずしも紹介した動作と全く同じにする必要はありません。
大事なのはあなたがいつもしている動作と全く同じかどうかです。
ティルトなしで普段自分がどのようにカードを差し込んでいるのか研究する事が第一歩です。
あとはティルトありの状態で少しずつ普段の動作に近づけていきましょう。
角度に気を使う
ティルトは正面から見ている観客にしか通用しません。
角度には常に気を付けましょう。
取り囲まれているようなマジックにはもちろん使えないですし、観客が数人いる時も見せ方に注意する必要があります。
複数人観客がいる際にティルトを使う時の一つのポイントとしては、「デックを手前に引く」事が重要になります。
不自然にならない程度に腕を引き、デックを手前に引くことによって観客との間に距離ができ、正面の範囲が広くなります。
ティルトを解消する時も気を抜かない
ティルトが見抜かれる可能性のある場面の一つとして、カードを差し込み終わった後、隙間を解消するタイミングが挙げられます。
普通に隙間をなくそうとするとトップカードがストンと下に落ちることになります。
それを見ていた観客からは「そこに空間があったんじゃないか」と感づかれる可能性があります。
この問題は、トップカードを離して下に落とすのではなく、トップカード以外のカードを持ち上げることによって隙間を解消する事で解決することができます。
すなわち、ティルトが終わったらトップカードの位置はほとんど変えず他のカードを持ち上げるようにしてデックを揃えます。
すると観客から見ても違和感なくティルトを解消することができます。
まとめ
ティルトというテクニックの概要とやりかた、ポイントについて解説しました。
ティルトは子供だましの技法のようにも見えますが、プロのマジックにも数多く使われている非常に重要な技法です。
また、コントロールに使用したりと様々な応用も可能です。
また、「本当に真ん中に入れたように見せる」演技力が必要です。鏡を見ながら要練習です。
最初は「これで本当に真ん中に入れたように見えているのかな?」と不安になりなかなか人前でティルトを使えない方もいるかもしれません。
しかし、十分に練習したうえで本番は「角度」と「入れ方」にだけ気を使っておけば意外と何とかなるものです。
是非自信もって演じてみてください。